欠勤が続いている試用期間中の新入社員、解雇できるか?4つのポイント!!

欠勤が続いている試用期間中の新入社員、解雇できるか? 4つのポイント!!

ゴールデンウィークが終わり、企業が動き出しました。
このようなタイミングで、社員に何か些細な変化はありませんか?
休み明けにもかかわらず、欠勤や遅刻をする社員はいませんか?

実は、このようなタイミングで、「欠勤や遅刻をする社員が増えてくる」
このような傾向は、少なくありません。
特に、新入社員に散見されるケースは多いです。

さいわい、一日や二日の欠勤で済めばよいのですが、週のうち三日も休んだり、翌週も引き続き休んだり。
このように、勤怠不良の状態が続けば、職場としては見過ごすことはできません。
ほおっておけば、大きなトラブル・ハレーションに発展していきます。

このように、社員の断続的な欠勤が続き、繰り返すなど問題が深刻な場合、会社は社員を解雇することができるのでしょうか?

結論:会社は簡単に社員を解雇できません。

理由は後半で解説します。

なぜ、こうなったのか・・・原因の究明

なぜ、このように、社員は欠勤を繰り返すことになってしまったのでしょうか。
その原因を検証することは、重要です。
今後にも影響してきますので、原因の究明を行っておきましょう。

なぜ、こうなってしまったのでしょうか。
どのような理由が、考えられますか?

  • ・企業選択のミスマッチ(入ってわかった、自分が思い描いていた仕事とのギャップ)
  • ・溶けこめない おとなしい (仕事のやりがいは感じるが、コミュが苦手)
  • ・器用でない お覚えが遅い(誰にでも、得て不得手がある、慣れるまで我慢ができるか?)
  • ・仕事の質が高い
  • ・長時間労働
  • ・肉体労働
  • ・パワハラ モラハラ体質の職場ではないか
  • ・社風が合わない(社長のワンマン体質が啓著)

どうすればよいのか・・・対応策を講じる

原因があるにもかかわらず、放っておいては、再び問題が起こる可能性があります。
ですから、今できることから、対策を講じなければいけません。
また、すぐに、対応できない問題に関しては、引き続き問題解決を検討するようにしましょう。
できれば、解決の目途、期限を設けるように検討すると良いです。

・本人に原因がある場合

<対応策>

  1. (1)意識合わせ(会社の思いと本人の意識のギャップを埋める)
  2. (2)再教育
  3. (3)出来ることから改善をすすめる
  4. (4)都度都度、改善の進捗や成長を把握し、本人にフィードバックをする

・会社に原因がある場合

会社の責任が生じる(法律上の使用者責任 不法行為責任)
改善する義務がある(安全配慮義務、職場の平穏を保つ義務)
速やかに改善を図る

<対応策>

  1. (1)問題行為やハラスメントの風潮等問題の洗い出し
  2. (2)問題である行為や状況を止めさせる
  3. (3)原因の究明・・・どうしてこうなったのか?
  4. (4)問題の解決・・・解決策の実施、再発防止策につとめる
  5. (5)その後、定期的に是正されているか、定期的なチェックを行う

本人に原因がある場合・・・具体的にはどうするのか?

(1)上長は本人と話す機会をもちましょう

まずは、じっくり、本人の話を聞いてください。 
ここで、「本当は、働き続けたいのか?」「辞めたいのか?」SOSを聞くことができるチャンスです。この機会をいかしましょう。 
このヒアリングは至急実施してください。

(2)育成計画の修正、フォローの検討 

先輩社員等の育成担当者と今後の育成計画の修正やフォロー体制の拡充等、具体的な対応策を講じます。しかし、この時、甘やかせる対応とならないよう注意が必要です。 
問題・課題については、出来ることから解決できるようにフォローを図り、本人自身も自分の成長を実感できることが、モチベーションの向上につながります。 

(3)出来ることから改善

改善すべき項目は、多岐にわたると思います。まず、できることから始め、目に見える効果が出やすい、数字に表れることから行っていきます。

  • ・理解不足が原因であれば、理解の徹底を図る
  • ・課題が判明した場合、過去の知見等をもとに解決方法を助言する 
  • ・周りの人材も配慮をするように努め、チームとしての関わり、助け合いを実感できる雰囲気を作る 
  • ・数字に表れた結果を評価する 
  • ・挨拶を頻繁に行い、欠かさないようにする(度が過ぎるくらいの励行が効果的) 

(4)都度都度、改善の進捗や成長を把握し、本人にフィードバックをする 

  • ・一日の進捗や成長した点について、つどつど本人にフィードバックを行います。この時、本人が感じていること、思っていることを、意識してヒアリングしてください。(本人のいいたいことを全部聞くイメージで。) 
  • ・一旦、すべてを聞いてみる。(この時、否定は一切しない。) 
  • ・なかなか、改善が難しい点については、どうすれば少しでも良くなるか、ディスカッションを重ねる。 (ここでは、結論がでなくても良しとする・ディスカッション自体が重要) 
  • ・明日の目標を決める(意識合わせ) 

さいごに 結論

一般的に、就業規則には“解雇”に関する規定があります。 
例えば、 

  • ・連続して14日以上欠勤し、労務の提供が行われない場合 
  • ・勤務成績又は能率が著しく不良で就業に適していないと認めた場合 

等。 

これに該当するから、即解雇できると判断することは危険です。 
会社は、簡単に社員を解雇できません。 
社員を解雇する為には、いくつかの判断基準があり、これに該当した上で、「解雇しても社会通念上、やむを得ない」場合でなければなりません。 

つまり、解雇のハードルは著しく高いといえるのです。 

社員を雇った以上、多少の課題がある社員であっても、 

  • ・再教育
  • ・配置転換
  • ・職種変更
  • ・出向

等、企業でできる限りの雇用継続の努力・措置をしなければいけません。

もちろん、社員に非や責がある場合は、自ら改めなければならないことはいうまでもありません。 
また、社員の非や責が、「著しいケース」、「重大である場合」「それを繰り返し改まらない」等の場合は、雇い続けると企業運営上重大な影響を及ぼすことになりますので、解雇もできることになります。 

しかし、勤務態度や成績が優秀でなくても、最善を尽くして働いている社員は、「解雇されない」「働く権利がある」といえます。 

企業の責任とは、これほど重い ということを再認識していただけたらと思います。 

これが、日本の現状です。 
このような状況の中、“昔ながらの考えで”、“ワンマン社長の独裁体質” のままですとトラブルだらけの会社になってしまいます。 

今すぐ、法律を理解し、適正な社内規則を備えることで、会社を、会社の財産である社員を守りましょう。 

そして、社内ガバナンスに手や時間を割くより、本業に傾注し、企業利益の増大を図りましょう。 

このような、会社、社員の皆さまのお力になることができるのが、社労士です。 

社員の労務管理に関わる知見に溢れた社労士はこのような問題・課題を解決に導きます。 

今すぐ、頭の痛い課題から解放されませんか!




社員を簡単に解雇できない理由

労働契約法第16条 
(解雇権濫用法理・・・会社には解雇権があるが、これを濫用してはならない) 

解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして無効である。 

では、社員を解雇できる場合とは

【普通解雇の4要件】 

  1. (1)就業規則の解雇事由に該当する(該当性) 
  2. (2)能力不足・勤務態度不良である場合、客観的評価で、かつ社会通念に照らし相当であること(相当性) 
  3. (3)会社の解雇回避努力がなされていること(再教育・配置転換等) 
  4. (4)解雇権濫用法理を満たしていること(解雇しなければ企業の運営に支障をきたすといった事情、合理的理由があること) 

以上の4つの基準に照らし、解雇が有効か否か 判断されることとなります。